最初に考えるべきことは タグの数ではなく成果の定義
GTMを使い始めると、つい何でも計測したくなります。
ボタン、スクロール、動画再生、外部リンク、PDFクリックなど、入れようと思えばいくらでも増やせます。
ただ、個人事業主や1人でWeb担当をしている現場では、計測できることが増えるほど、逆に判断しづらくなることが少なくありません。
数字は増えたのに、何を見ればいいのか分からない。レポートに項目は増えたのに、改善につながらない。こうなってしまうからです。
先に決めるべきなのは、タグを何本入れるかではありません。
このサイトで何を成果として見るのかです。
問い合わせ完了なのか、資料請求なのか、電話クリックなのか、購入なのか。
ここが決まっていないままタグだけ増やすと、GA4でもLooker Studioでも数字が散らかります。
(例)サイト目的ごとの最初の成果イメージ
・サービスサイト:問い合わせ完了、資料請求完了
・採用サイト:応募完了、エントリーフォーム送信完了
・ECサイト:購入完了、決済開始
・店舗サイト:予約完了、電話クリック
1) まずは 成果に直結する行動 から決める
GTMの設計で最初に必要なのは、サイト内の行動を全部拾うことではありません。
まずは、売上や問い合わせに近い行動を1つか2つ決めることです。
小規模サイトなら、最初から細かく分けすぎない方が運用しやすくなります。
たとえば、問い合わせ関連なら、フォーム開始、入力途中、確認画面到達、完了、のすべてを初手で取る必要はありません。
最初は完了だけでも十分です。
2) レポートで本当に見るかどうか を基準にする
タグを入れるか迷ったときは、その数字を毎月の確認や改善判断で本当に使うかを考えてください。
使わない数字は、入れても残るだけです。
特に1人担当の現場では、確認項目が多いほど見る時間がなくなります。
GTMの設計は、計測できることの多さではなく、使う数字だけを残せているかが重要です。
GTMで最初に入れるべきタグ
ここでは、小規模サイトや体制が限られた現場で、最初に優先したいタグを整理します。
まずはこの範囲から始めると、数字が見やすく、後から追加もしやすくなります。
1) GA4の基本計測タグ
まず必要なのは、GA4の基本計測です。
ページビューや基本的な流入確認ができなければ、後からイベントを足しても全体像が見えません。
ただし注意したいのは、すでにCMSのプラグインやテーマ設定、別の埋め込み方法でGA4が入っている場合です。
GTMでも同じ計測を入れると二重計測になることがあります。
最初にやるべきことは、入れることだけではなく、重複していないか確認することです。
(例)最初に確認したいこと
・すでにGA4が直書きされていないか
・WordPressのプラグイン側で計測が入っていないか
・GTM経由と別経由で二重に送っていないか
2) 問い合わせ完了や購入完了などの成果タグ
次に優先したいのが、成果地点の計測です。
これは一番大事です。なぜなら、アクセス数よりも先に、成果が取れているかが分からないと改善が始まらないからです。
代表的なのは、問い合わせ完了、資料請求完了、予約完了、購入完了です。
サンクスページがあるならページ到達で見やすいですし、ない場合はフォーム送信成功や完了文言の表示などで判定します。
(例)最初に設定したい成果イベント
・お問い合わせ完了
・資料請求完了
・購入完了
・予約完了
3) 広告を出しているなら 広告媒体側のCVタグ
Google広告などを使っている場合は、GA4だけでなく媒体側のCV計測も優先度が高いです。
広告の自動入札や配信最適化に使うことが多いため、後回しにすると運用判断が弱くなります。
特に問い合わせ獲得や購入獲得を目的にしている場合は、GA4で見えることと、媒体側で最適化に使えることを分けて考えた方が実務では安定します。
4) 電話クリックやLINEクリックは 目的次第で入れる
店舗型ビジネスや小規模サービスでは、電話やLINEが実質的な問い合わせ導線になっていることがあります。
その場合は、フォーム完了だけでなく、電話クリックやLINEクリックも早めに入れる価値があります。
ただし、これを成果として扱うのか、補助指標として見るのかは分けてください。
問い合わせ完了と同列で並べると、レポートが読みにくくなることがあります。
(例)補助指標として使いやすい行動
・電話番号タップ
・LINE追加ボタンのクリック
・資料ダウンロードボタンのクリック
最初から入れなくていいタグ
GTMで失敗しやすいのは、必要なタグが少ないことではなく、不要なタグが多すぎることです。
ここでは、最初から無理に入れなくていいものを整理します。
1) すべてのボタンクリック計測
現場でよくあるのが、ボタンは全部クリックを取っておこう、という設計です。
ですが、これをやるとイベント名が増えすぎて、何が重要なのか分からなくなります。
トップページの詳しく見る、サービス一覧の詳細、フッターのリンク、ヘッダーの導線まで全部並ぶと、GA4のイベント一覧がすぐに雑然とします。
最初は、成果に近いクリックだけで十分です。
2) なんとなく入れるスクロール計測
スクロールは一見便利そうですが、入れたあとに活用できないケースが多いです。
たとえば、スクロール率が低いと分かっても、そこから何を直すかまでつながらないことがあります。
LP改善や記事改善で明確に見たい理由がある場合を除いて、初期設定では後回しでも問題ありません。
3) 動画再生、PDFクリック、外部リンククリックの全部入り
これらは悪い計測ではありません。
ただ、小規模サイトで最初から全部入れると、確認項目だけが増えやすいです。
その数字を見て実際に改善する予定があるものだけを残してください。
何となく便利そうだから、で増やすと、後で整理しきれなくなります。
(例)後回しでもよいケース
・動画は置いているが、再生率を毎月見ない
・PDFはあるが、営業資料として運用改善に使っていない
・外部リンクはあるが、重要導線ではない
4) 将来使うかもしれない媒体タグ
今は使っていない広告媒体のタグを、先回りで入れておく必要はあまりありません。
Meta広告をまだ配信していないのにピクセルだけ先に入れる、使う予定が曖昧な媒体タグを並べる、といった設計は管理を複雑にしがちです。
実際に運用を始める時点で追加する方が、目的も管理方法も明確になります。
5) 同じ意味のタグを複数の方法で入れること
これはかなり危険です。
同じ問い合わせ完了を、サンクスページ到達でも、クリックでも、フォーム送信でも送ってしまうと、数字の意味が崩れます。
さらに、GTMと別プラグイン、GA4と広告媒体、複数の経路が混ざると、どれが本当の数字か説明しにくくなります。
計測の方法は、できるだけシンプルに揃えるのがおすすめです。
小規模サイトで失敗しにくい始め方
実務では、最初から完璧を目指すより、少なく入れて確実に見る方がうまくいきます。
迷ったときは、次の順番で整えると失敗しにくくなります。
手順1:成果を1つか2つに絞る
まずは、このサイトで成果と呼ぶものを決めます。
小規模サイトなら、最初は1つ、多くても2つ程度で十分です。
問い合わせ完了と資料請求完了のように、事業上の意味があるものだけに絞ると、その後の設計が楽になります。
手順2:GA4基本計測と成果計測だけ先に入れる
次に、GA4の基本計測と成果計測だけを先に入れます。
広告を運用しているなら、必要な媒体CVタグもここで加えます。
この時点では、細かな補助イベントは増やしすぎない方が管理しやすいです。
(例)BtoBサービスサイトでの最小構成
・GA4基本計測
・お問い合わせ完了
・資料請求完了
・Google広告のCVタグ
手順3:1か月ほど見てから 不足分だけ追加する
運用を始めたら、まずはその状態で数字を見ます。
そのうえで、電話クリックも見たい、特定LPのCTAクリックも必要、という判断が出てきたら追加すれば十分です。
最初から全部入れるより、必要になったものを足す方が、イベント名もレポートも整理された状態を保ちやすくなります。
手順4:Looker Studioで見る項目とそろえる
GTMで計測する内容は、GA4だけでなく、最終的に何をレポートで見るかまでそろえておくと運用が安定します。
GTMで細かく取りすぎると、Looker Studioでも表示項目が増えすぎて、結局見づらくなります。
計測設計とレポート設計は別ではなく、最初からつながっています。
現場ではここがそろっているかどうかで、月次確認のしやすさがかなり変わります。
- ● GA4で見る指標
- ● 広告媒体で見る指標
- ● Looker Studioに載せる指標
- ● 毎月の改善判断に使う指標
この4つがズレていない状態を目指すと、タグの入れすぎを防ぎやすくなります。
まとめ:少なく入れて、確実に見える状態から始める
GTMは便利ですが、何でも計測すれば良いわけではありません。
特に小規模サイトや1人担当の現場では、最初から全部入れるほど、数字の意味がぼやけやすくなります。
まず入れるべきなのは、GA4の基本計測、問い合わせ完了や購入完了などの成果計測、必要に応じた広告媒体のCVタグです。
一方で、全ボタンクリック、何となくのスクロール計測、使う予定のない媒体タグ、重複計測は後回しで問題ありません。
大事なのは、タグの本数ではなく、少ない数字で正しく判断できることです。
まずは最小構成で始めて、実際に見る数字だけを後から足していく。これが、現場で一番失敗しにくいやり方です。